大人に比べて肌が敏感な子ども、そんな子どものために販売されているのが「赤ちゃん用洗濯洗剤」です。
合成界面活性剤や蛍光増白剤など、大人用洗剤によく含まれている成分が抑えられている、もしくは入っていないものが多いのですが、衛生面を考えると「抗菌作用」はあってもいいのでは?と考える人もいるのではないでしょうか。
しかし抗菌剤入りの洗剤は赤ちゃんに不向き・・・という噂も聞いたことがあります。
そこで今回はその噂の真相を知るべく、抗菌剤入り洗剤について調べてみました。
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そもそも抗菌ってどういう意味?
そもそも「抗菌」「殺菌」「除菌」などといった言葉の意味を、ご存知でしょうか。
今回注目している「抗菌」は、「菌の増殖抑制、増殖阻害」を意味する言葉です。
菌自体を減少させるのではなく、これ以上菌が増えないようにするための成分だということですね。
対して「殺菌」はその漢字が示す通り、殺したり死滅させるという意味で使われています。
これは医薬品医療機器等法の対象となる「医薬品」や「医薬部外品」に使うことのできる表現であり、洗剤や漂白剤の表示では、使うことができない表現だと決められています。
また「除菌」は、菌を減少させる効果を意味し、こちらは洗剤や漂白剤で表現可能な言葉です。
ただ菌と評される微生物は私達の目に見えないだけで沢山存在し、数も多いため、数値的に0になるのではなく、人に害を与えない程度にまで減少させられるという意味合いだと頭に入れておきましょう。
もちろん数値的に0にならなくても、十分「殺菌」「除菌」効果は表れます!
抗菌剤入り洗剤の効果とは?
そんな菌の増殖を抑える効果のある抗菌剤、これの配合された洗剤は「不快な臭いが消える」といった効果が評判を呼んでいます。
というのも部屋干しなどでよく経験する“ 生乾き ”の臭いは、不快な臭いを発する菌の増殖が原因だからです。
それを抑えることができるのですから、部屋干しする機会の多い家庭では、抗菌剤入りの洗剤はとても役に立つと言えるでしょう。
抗菌成分の効果がないという話も・・・?!
しかし「抗菌成分には効果がない」という話題が挙げられているのも事実です。
米食品医薬品局(FDA)は抗菌作用があるとされていた成分トリクロサンなど19種類を含む商品の販売を禁止しました。
抗菌・殺菌への効果の根拠がないこと、長期的に使用した際の安全性が検証されていないことが原因でした。
これら成分における一部の研究では、殺菌剤を用いることでその成分に耐性をもつ菌が増えるというリスクや、健康影響(ホルモンの働きを阻害するなど)を懸念する意見もあります。
抗菌剤入り洗剤は赤ちゃんに不向き?
抗菌剤入り洗剤は赤ちゃんに不向きなのでは?という噂に対する結論としては、
抗菌剤そのものが不向きというよりは、やはり使用されている成分の効果が不透明な場合には、使わない方がベターというところに落ち着きそうです。
生まれたばかりの赤ちゃんは抵抗力が弱く、菌やウイルスによる感染症にも十分注意しなければなりませんから、抗菌剤の効果そのものは赤ちゃんのためになるようにも思えます。
ただ、FDAが出したいくつかの抗菌成分配合の商品の販売禁止のように、安全性の検証が確実にされていない成分を使うことは好ましくないですよね。
そのため、抗菌剤の有無というより、大人である私達が成分を確認した時「これはどうなんだろう?」と思った成分は避けた方がいいのではないか、と私は考えます。
赤ちゃんに適した洗濯用洗剤の選び方は?
赤ちゃんに適した洗濯用洗剤を選ぶ場合には、とにかくシンプルな原材料を探すことをオススメします。
大人用洗剤に含まれる石油系合成界面活性剤や蛍光増白剤の刺激が赤ちゃんに好ましくないと聞きますから、それらが入っていない赤ちゃん用洗剤を選ぶことが最も簡単な選び方と言えます。
また香りのついた洗濯用洗剤も販売されていますが、肌への刺激、洗浄力(食べこぼしやうんち汚れを落とす)といった最優先されるべき目的からは外れますので、香料の有無はあまり重要視する必要がないと考えます。
赤ちゃん用洗濯洗剤として有名なミヨシやサラヤの石けん洗剤であれば、成分が純石けん分と水だけ(天然素材の保湿成分等を含むこともあり)というシンプルな商品が販売されています。
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洗剤の成分より洗い方が大切!
個人的には、洗濯用成分について考えるよりも“ 洗い方 ”そのものを考えることのほうが大切なのではないかと考えています。
特に汚れを落としたいからといって洗剤をたっぷり使うのは避けるべきでしょう。
洗剤には使用する際の規定量がありますから、それを守れば十分汚れは落ちるはずです。
しっかりすすごう
またすすぎと乾燥を念入りに行なったほうが、洗剤の成分による効果以上に、洗剤の成分残りや菌の繁殖を防ぐことにつながります。
洗剤など、人の生活に関わる商品は、多少口に入ったぐらいでは体の不調が生じないはずですが、赤ちゃんは何でも口に入れて確かめる時期が必ずといっていいほどあります。
それを考えるとしっかりとすすぎを行ない、洗剤の成分が出来る限り残っていない状態を保つことのほうが赤ちゃんにとって大事なのではないでしょうか。
すぐに洗おう
また赤ちゃん用衣類の汚れは、ミルクや母乳による汚れやうんちの汚れが大半だと思います。
これらタンパク質汚れは、「汚れたらできるだけすぐ洗う」が汚れをしっかり落とす秘訣と言えます。
時間を置くと、どんなに洗浄力の高い洗剤であっても落としづらくなりますから、洗浄成分の効果よりも、いかにすぐ汚れを落とす努力をするかが大事だと言えるのではないでしょうか。
太陽光で念入りに乾かそう
そして晴れた日には、太陽光の力を借りて念入りに乾かしましょう。
太陽の強い光のおかげで、臭いの原因菌などを退治することができますよ。
天然の抗菌作用といったところでしょうか。
まとめ
抗菌剤の入った洗剤は赤ちゃんに不向き・・・というよりは、得体の知れない刺激の強い成分は不向き、と言ったほうが分かりやすい気もします。
また抗菌剤の有無よりも、洗濯の必要性や方法を考え、しっかりすすぎ、汚れは迅速に落とし、念入りに乾かす、ということを意識したほうが、よっぽど抗菌作用があるように思えます。
この記事に関する参考文献
1,製品の表示にある「除菌」「抗菌」「殺菌」、それぞれの意味は?花王株式会社
http://www.kao.com/jp/qa_cate/clothbleach_04_01.html
2,洗濯洗剤のオススメ人気ランキング!口コミとの比較もチェック!
http://utuyoiro.net/4503.html#Neo_EX_W
3,抗菌せっけん、米で販売禁止「効果に根拠ない」トリクロサンなど殺菌剤19種
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG03H1D_T00C16A9CR0000/
4,これでもう悩まない。ベビー服のお洗濯を大公開!
https://mamari.jp/1979